本の電子化サービスとは?
裁断しない方法はある?

本や書籍を電子化して保存できる「本の電子化サービス」は個人だけでなく、企業や教育機関、自治体など幅広い分野で広まっています。
持っている本を電子化することにはどのようなメリットがあり、どんなことに注意しなければいけないのでしょうか?
ここでは電子化までの流れや、本を裁断せずに電子化する方法などについてもご紹介します。
本の電子化(PDF化)サービスについて
本の電子化サービスとは、紙の本をスキャンしてPDF化する代行サービスのことです。
PDF以外にもJPEG、TIFF、マイクロソフトのエクセルやワード、デジタルブックなど様々な形式で電子化することが可能です。
インターネット上では、本や書籍を電子化して保存することを「自炊」という俗語で表現することもあります。
ごく簡単に言えば「紙媒体の物をデジタル化する代行サービスのこと」です。
書誌情報のフォーマットやルール
書誌情報は一定のルールに基づいて記述されます。
国際的な基準は、国際図書館連盟(IFLA)が定めた国際標準書誌記述(ISBD)が標準記述法として採用されています。
日本では日本目録規則(NCR)が採用されています。2018年、日本目録規則は大幅に改訂され、書誌情報を元にして紙の本以外にもPDFファイルやDVD、電子書籍など関連する資料への紐付けが強化されました。
書誌情報を機械的に処理するために使われるデータフォーマットは、MARC(Machine Readable Cataloging)と呼ばれ、日本語では「機械可読目録」と訳されます。
電子化までの流れ
本を電子化するには以下のような流れを辿ります。
1.裁断
業務用裁断機や専用カッターで糊付けされた背部分を裁断してページ毎に分離します。
裁断幅は本の余白に合わせて3mmから7mmで調整します。
2.電子化
専用スキャナーを使用し、本の紙質や種類(情報誌、医学書、デザイン誌など)に合わせて最適な設定で電子化します。
3.ファイルチェック
落丁、傾きの有無、汚れ、読み取り不良などを確認します。
4.納品
電子メール、CD-R、USB、お客様専用ストレージなど様々な形で納品します。
本を裁断せずに電子化する方法
「照射式スキャナー」を使用することで本を破壊せずに電子化できます。
本を電子化する際は裁断することが一般的ですが、古書や歴史資料、劣化が進んでいる本、原本を残したい場合でも非破壊で電子化可能です。
本を電子化するメリット
本を電子化することにはどのようなメリットがあるのか見てみましょう。
本棚や部屋が片付く
電子化すれば本の収納スペースが片付きます。
仮に、本や資料の保管のために倉庫を借りている場合、倉庫の賃料が節約できるため保管にかかるコスト削減につながります。
本の持ち運びが容易になる
電子化された本をタブレット端末やスマートフォンに保存すれば、大量の本を持ち運ぶのと同じことが実現します。
とくに外出が多い営業担当者にとっては持ち運び負担の軽減になり、資料忘れを防ぐ副次的な効果も見込めます。
本や語句を検索できるようになる
本を電子化する際に「OCR処理」することで語句検索が可能になります。
OCR処理とは光学式文字認識のことで、紙に印刷されている文字情報をテキストデータ化することです。
例えば、電子化された大量の資料内から特定の語句や著者名などで検索できるようになるため、目的の本や資料を瞬時に見つけられます。
保存できる(バックアップ体制の強化)
紙の本は保管方法によっては劣化や破損をしてしまいますが、電子化された本(データ)は劣化することはありません。
また、複数の方法で保存することで貴重な本のバックアップにもつながります。
読みやすい
電子化することで文字の拡大表示や画面の輝度調整が容易になります。
細かい文字や暗い場所であっても読みやすく、商談やプレゼンの際でもスムーズです。
本の電子化はこのような人におすすめ
本の電子化は以下のような人におすすめです。
収納スペースにお困りの方
本や書籍の保管場所に困っている方や保管コストを削減したい方は、省スペースが実現する電子化をおすすめします。
本の検索や閲覧を効率化したい方
日常業務において、膨大な本の中から特定の本を探す機会が多い場合は、検索や閲覧が容易な電子化をおすすめします。
検索にかかる時間や労力を削減し、業務効率化につながります。
海外駐在員の方
海外駐在で日本の本や書籍が簡単に入手できない方は、電子化することで海外でも容易に読めるようになります。
海外までの送料や配送にかかる時間の節約にもつながり、業務スピードが向上します。
本の持ち運びが必要な方
日頃から本を持ち運ぶ必要がある方は、軽量化と省スペースが実現する電子化がおすすめです。
情報収集、営業活動、資料用など、様々な事情で本を持ち運ぶ際の負担が軽減されます。
本の電子化で注意すべきポイント
本の電子化で注意すべきポイントをご紹介します。
著作権
著作権法では、持っている本を電子化(複製)することは私的利用として認められていますが、電子化されたデータを不特定多数の人が閲覧できるようにしたり、販売することは違法行為に該当します。
電子化する目的によっては著作権法に抵触する可能性があるので注意しましょう。
古書は黄ばみや色あせも再現される
黄ばみや色褪せも再現されるので注意してください。
裁断する方法、裁断しない方法いずれであっても黄ばみや色褪せ、折り目、傷などはそのまま再現されます。
とくに古書や歴史書などで生じやすいので注意してください。
時間がかかる可能性がある
時間がかかる場合があります。
とくに稀少性がある本や、原本を保持したい場合などは電子化するのに時間がかかることがあるので注意してください。
本を電子化するサービス
データ入力
文字起こしが必要な本や書籍を電子化するサービスです。
断裁できない本や、手書きマニュアル、古書なども電子化できます。
OCR処理
光学的文字認識の技術を使って本や書籍を電子化するサービスです。
旧字、和欧文混在、回転文字などが含まれている本にも対応しています。
スキャニング
高解像度スキャナーを使って本や書籍を電子化(PDF化)するサービスです。
照射式スキャナーを利用することで非裁断で電子化することも可能です。