パブリックドメインとは?
意味や注意点を徹底解説

パブリックドメインのイメージ画像

著作権について調べている際に「パブリックドメイン」という言葉を目にしたことはありませんか?

パブリックドメインは画像、音楽、映画、絵画といった様々なものに関係しており「著作権フリー」を意味する言葉として認識されています。

とくに電子書籍などのデジタルコンテンツ制作では、パブリックドメインのことをよく理解しておく必要があります。

ここでは、パブリックドメインについてわかりやすく解説します。

パブリックドメインとは何か簡単に解説

パブリックドメインとは、知的創作物についての、著作権をはじめとする知的財産権(知的所有権)が発生していない、誰でも利用できる状態のことです。

日本語では「公有(こうゆう)」または「公共に帰した」と訳されます。

身近な知的創作物の例としては、画像、音楽、映像、絵画、小説などがあり、これらの著作物は著作者の没後70年(国によって異なる)は、著作権法によって保護されています。

著作者の没後70年が経過した著作物は著作権が消滅するため、誰でも複製、出版、転載などが出来るようになります。これがパブリックドメインです。

また、著作者が著作権を放棄した場合も同様で、パブリックドメインになります。

著作権が発生している期間中に作品を利用する場合、著作者の許可を得る必要がありますが、パブリックドメインの作品は個人や商用に関係なく自由に利用できます。

著作権の保護期間

日本における著作権の保護期間(原則的保護期間)は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後70年までです。

2018年12月30日までは著作権の保護期間は50年でしたが「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」により、70年に延長されました。

仮に、ある作品の著作者が1989年に死亡した場合、1990年1月1日を起点として70年後の2060年1月1日にパブリックドメインになります。

権利放棄

著作者は自ら著作権を放棄できます。

著作者が「この作品の著作権を放棄する」と明言している場合に権利放棄が成立し、対象の作品はパブリックドメインになります。

ただし、著作者が「権利について主張していない」ことを権利放棄とみなすことはできません。

相続人の不在

著作者は著作権を相続できます。

例えば、企業などの団体が保有する著作権を相続人に相続した場合、著作権の有効性は継続します。(倒産や買収時に起こりやすい)

個人、団体に限らず、相続人が不在で著作権が相続されなかった場合は、著作者没後70年で権利は消滅し、パブリックドメインになります。

パブリックドメインの注意点

パブリックドメインに関する注意点を見てみましょう。

二次的著作物や著作隣接権

パブリックドメインの作品を利用して新たな作品が作られた場合、その作品には新たな著作権が発生します。

例えば、パブリックドメインの写真や絵画などをアレンジして作られたフォトブックには新たな著作権が発生します。これを「二次的著作物」と呼びます。

また、パブリックドメインの音楽を演奏してCDにした場合、演奏者やCD制作者には著作権が発生します。これを「著作隣接権」と呼びます。

二次的著作物と著作隣接権いずれも70年の著作権保護期間が適用されるので注意しましょう。

著作者人格権

パブリックドメインの作品は著作権や著作隣接権といった権利は消滅していますが、著作者人格権は続きます。

著作者人格権とは、著作権の一部であり、著作者の名誉や精神を保護するためのものです。

具体的には、著作者の没後に著作者を否定したり、著作者の精神を侵すような改変、名誉を傷つける行為などを禁止しています。

パブリックドメインの作品を悪意を持って編集したり、アダルトサイトの広告に用いたりすると、著作者の名誉や声望を害した(名誉声望保持権の侵害)として、遺族から訴訟を起こされる場合があるので注意しましょう。

フリー素材

インターネット上には「フリー素材」と呼ばれるものが広く流通しています。

例えば、ソフトウェア、画像、音源(BGM)などが該当しますが、これらは必ずしもパブリックドメインとは限りません。

これらのほとんどは「利用規約などで許可した範囲であれば無料で利用可能」という意味合いです。

従って、定められた規約外での利用は著作権侵害となるため注意が必要です。また、同じようなサービスや利用方法でもウェブサイトや作品ごとに規約が異なることにも注意しましょう。

ロイヤリティフリー

ロイヤリティフリーは著作権利用料が無料という意味で、パブリックドメインではありません。

著作物が一定の条件下であれば無料で利用できる場合もある一方で、著作物の利用許可を得る際に料金を支払えば「追加料金がフリー(無料)」になるパターンもあります。

著作物を自由に利用できる意味での「フリー(自由)」ではなく、著作権使用料が「フリー(無料)」という意味であることに注意しましょう。また、フリーとはうたっているものの、必ずしも無料とは限らないので注意してください。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons License)とは、著作者が利用条件を設定し、条件下であれば作品を自由に利用しても良いとする意思表示のためのルールです。

著作者は、著作権を維持したまま作品を流通させられて、利用者は条件内に限ってアレンジやリミックス、再配布などが可能になります。

CCライセンスの種類は以下の4つで、これらを組み合わせた6種類のCCライセンスがあります。

CCライセンスの種類:

  • 表示:著作物のクレジットを表示すること
  • 改変禁止:著作物を改変しないこと
  • 非営利:営利目的で使用しないこと
  • 継承:元の著作物と同じ組み合わせのCCライセンスで使用すること

CCライセンスの組み合わせ:

  • 表示
  • 表示 - 継承
  • 表示 - 改変禁止
  • 表示 - 非営利
  • 表示 - 非営利 - 継承
  • 表示 - 非営利 - 改変禁止

CCライセンスによって著作物の再利用が促進されていたとしても、パブリックドメインではないことに注意しましょう。

GPL

GPL(General Public License)とは、ソフトウェアの利用許諾条件などを定めたライセンスのことです。

ソフトウェア(著作物)の自由な利用、改変、再配布、商用利用の権利を人々に提供し、そこから派生した著作物(二次的著作物)に対してもこれらを制限しない「コピーレフト」であることが特徴です。

GPLはフリーソフトやプログラムで広く普及しており、優れたコードを再利用しやすいためソフトウェアの迅速な開発や品質向上に貢献しています。

GPLのわかりやすい例としては、ウェブサイトやブログサイトを簡単に構築できるCMS(コンテンツ管理システム)の「WordPress」があります。

ソフトウェアにはGPLというライセンス制度があることに注意しましょう。

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